『シンドラーのリスト』『ジョジョ・ラビット』を始め、ナチス、ホロコーストものにハマり、その後『テルアビブ・オン・ファイア』、『ファウダ』『シュティセル家の人々』などでイスラエル作品を摂取、そのタイミングで鑑賞。
ろくに期待もせず見たものの、6編のショートストーリーが結構テンポよくて面白く、気付けば2時間見終わっていたという感じ。
反ユダヤ主義の政治家が実はユダヤ人だった、という冒頭エピソードでは、あらためて「ユダヤ人」という存在が信仰による曖昧なものだということに気付かされた。もはや人種というより遺伝する宗教なのだなと。
『シュティセル家の人々』を見ていたからこそ「あ〜、あるよねこの光景(笑)」と笑えたのは3エピソード目。超正統派の2人のユダヤ人が経典の内容についてああでもないこうでもないと話し合うだけのエピソード。これもくだらなくて面白かったなぁ。時間配分も絶妙で、場面転換ないし長々見せられると飽きそうだなぁと思っていたらあっさり終わって気持ち良かった。
4エピソード目は、これまで社会派映画見てると思っていたところに突然タイムマシンものつっこまれてビックリしたし、そしてすごく荒唐無稽で面白かった。ユダヤ教とキリスト教のつながりが、このエピソードを見て少しだけ理解できた。ただ、キリスト誕生の物語を知っていたらもっと面白かったかもしれない。
5エピソード目は、ラストシーンで一瞬きょとんとしたけれど、ホロコーストについて学んでいたので少し考えたら意味が分かった。強制収容所に入っていたユダヤ人は腕に識別番号を刻まれるからだ。認知症になっても、失われないほどに深く刻まれた記憶。
これまで「俺たちだって傷付いてる!」と主張し、ユダヤ人と同等の権利を求めて活動していた赤毛の主人公の浅はかさが浮き彫りになるようなラストだった。
それらが全体としてユダヤ人視点でのリアルを語っており、彼らが世界からどういう扱いを受けているのか?それに対して彼らはどう感じているのか?が見えてくる。
ユダヤ人理解のために見る価値はあるし、最後まで見られるくらいの面白さもあるけれど、人生における別のタイミングで見たいと思うとか、特別心に残るものがあるとかではないので、★3.5。