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許された子どもたちのkuのレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
4.0
今作は、社会派ドラマです。

内容は、不良少年グループのリーダーで中学1年生の市川絆星は、同級生の倉持樹をいじめるうちに殺害してしまう。絆星は警察に犯行を自供していたが母親に説得され否認に転じ、少年審判では不処分になる。世間はその決定を激しく非難し、樹の家族は民事訴訟を起こすことで加害少年らの罪を問うことにする......というもの。

これは、自分の中での価値観や倫理観が揺さぶられる映画でした。絆星の殺害は私たち傍観者だけが知り得る事実であり、実際の所、審判では不処分になっているため、無実という扱いです。そんな中、事実も知らない第三者が正義を盾に、家にいたずらしたり、個人情報を特定したり、負傷させるのは、加害者とやってることが変わらないんですよね😅

また、この映画のすごい所は色々な人にヘイトが向く所だと思いました。やはり、前半を見ていると、イジメをしていたのに不処分になった子供たちに対して向きますが、次は加害者の家に突撃に来る人、人殺し呼ばわりしてSNSに書き込もうとするクラスメイト、加害者の家族を暴行する生主に向きます。お前たちはどんな権利があって、人を追い詰めているのだと😠

映画として、客観的に見ている時はこの理不尽さに気づきますが、リアルでこのような事件が起きた場合、果たして何人の人が無意識に当事者を追い詰めていくのでしょうか。加害者を追い詰めることが本当に正義なのでしょうか。普段の日常であれば意識しないこの構図に、今作を見て、改めて考え直しました🤔

何かあったらすぐにSNSで叩いたり、気に入らない人がいたら個人情報を特定するという怖い現代に住む私たちだからこそ、この映画を一度は観るべきだと思います。決してスッキリしたり、後味が良い作品では無いですが、各々が持つ価値観や倫理観を改めて見つめ直してみてはどうでしょうか🤗
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