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許された子どもたちのdodoのレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
3.5
許されるとは一体どういう事なのだろうか?
主人公の少年に対して前半は嫌悪感しかないのだが、段々と少年に対するイメージが変化する。
善意や正義を振りかざし、結果いじめと同じようなことをしている人たちのたちの悪さ。匿名でしか叩けないネット民や、正義とは名ばかりのバカな配信者。タチの悪い同級生。後半から少年に対して同情にも似た気持ちになるのがこの映画のたちの悪さである。犯した罪は悪である。もし私が被害者の親ならば、加害者を同じ目に合わすだろう。
ただもし加害者の親ならあそこまでできるだろうか。少年を絶対に見捨てない母の強さに圧倒される。そして母親に対しては素直な少年。観ながら困惑する。絵に描いたような不良少年などそこにはいないのである。ただおしむらくは、で?という所なのである。彼は法で許されたが、世間からは許されない。怒りや憤り苦しみは、反省とはまた別問題。そして母には甘やかされ続ける。被害者家族に会った後の行動も然り、彼は結局子供まま、再生できちゃいないのだ。
ラスト夢のはなしをするが、で?なのである。
映画『告白』のラストで「ここからあなたの再生の道が始まるのです」みたいなセリフがあった。あれはすごいなぁと思った。出来ればそのポジションに実の母親がなるべきだったようにも思う。
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