スティーナノルデンスタム

許された子どもたちのスティーナノルデンスタムのレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
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人は傷ついた分だけ優しくなれる、と誰かが言う。そうだとも言えるし、そうじゃないとも言えると思う。要はその人の心持ちと環境次第かもしれない。

逆に、人は傷ついた経験がないと相手のことを思いやる優しい気持ちを持つことができないのだろうか。


あの子は小さい時に痛みを経験したが、相手を思いやる気持ちに気づくことができなかった(あの時点では)。

それは、傷ついている時に、隣に寄り添って、心にもしっかり向き合って、気持ちに寄り添ってくれる人がいなかったからだと思う。

自分たちは、映画館でこの映画を見ている傍観者ではなく、同じような事件が起き続けている世界に生きている当事者一人ひとりかもしれない。
それならば、後悔しないようにその瞬間その瞬間にそばにいる人に寄り添う心を持ち、声を掛ける勇気を持ち続けたい。
そして、映画とか、小説を読んで疑似体験をして出来るだけ想像力を働かせて(あの参考文献の量!)、空気とか、雰囲気とか、仕掛けられた物語とかに流されず、自分の頭でものを考えたい。

そんなことをこの映画を見て思った。

そんなことをしているうちに、そばにいる人だけじゃなく、生きている人全てに寄り添うことができるようになるのかな。


それにしても、しんどい題材の映画なのに、見てるのを飽きさせない仕掛けを作るのがすごい上手い人だった。
それも優しさなんだろうな。