Zhenji

許された子どもたちのZhenjiのレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
4.5
まず、なにを置いてもエンタメとしてのクオリティの高さを挙げたい。前作ミスミソウも良かったが、さらにパワーアップ。

本作は誰かの視点に偏ることなく(物語自体はキラを中心に描かれているが)、加害者、被害者、傍観者、偽善者、家族、ネット民等、多層的な視点で語られていく。

だから見ている自分たちも誰かだけに肩入れすることなく、共感する対象がコロコロ変わっていく。この問題に唯一の解などない。

魅力をあげたらきりがないが、例えば親子の描き方ひとつとっても、13歳と言う多感な年頃の非行に走る子と溺愛する母親はよくあるコンテンツだが、その子が明示的にママ大好きっ子として描かれるのはあまり例がない。斬新。また、本作で極悪認定したいのは親子を追い詰める優等生の男女コンビ。皮肉なことに奴らが一番暴力的で万死に値する。だから母親とのシーンでは溜飲が爆下がり!

ま、とかく世の中のニュースは勧善懲悪的に語られがちだが、いやいや人ってもっと複雑ですわ、とあらためて本作を見て感じ入りました。
Zhenji

Zhenji