moya

三度目の殺人のmoyaのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

器=他人の感情を取り込んで殺人を代行する
一度目=借金取りに苦しむ人々の憎しみ
二度目=性的暴行で苦しむ咲江の憎しみ
三度目=咲江を娘と重ね本人が傷つく証言をさせたくない重盛の気持ち

面会で三隅が殺人を否認した時「私を信じるか」の問いに重盛は「わかりました」と言うだけで一切信じるとは言ってない
つまり貴方の意思は分かりましたという意味で、三隅が否認により死刑になり咲江が証言せず済むように導く事に関して納得したという事
(このシーンの途中から重盛は三隅の当日の行動を二人で打ち合わせて否認シナリオを共同で作るモードに切り替わってる)
その後重盛は明らかに三隅が死刑になる事が分かっていて強引に否認シナリオを推し進める
思惑通り咲江は証言を取りやめ三隅は死刑となり、裁判が終わったあと重盛は複雑な表情で手首を口で拭う
これは重盛の火傷した手首を舐める仕草を模倣したもので自分も三隅と同じ殺人者である事を無意識で感じてる事を示している

この作品の強いテーマは「人は自らの意思と関係なく命を選別してる」という重盛と三隅が共有した思想にある
重盛は無意識にか咲江の未来と三隅の命を選別し、彼を死刑にしても咲江の未来を守る事を優先した
器としての三隅はその重盛の気持ちに応え自分を殺す作業の手伝い(代行)をした
それが三度目の殺人の意味

最後重盛は三隅に答え合わせをしようとするが三隅は「だめですよただの殺人者にそんな期待しちゃ」と言う事により「私はただ貴方の気持ちを代行しただけ」と自分の意思ではない事を重盛に告げる
ラストシーンで重盛は十字路(十字架)の真ん中で立ち尽くすが、これはメタ視点でみれば三隅を死刑に導いた自分が今度は裁かれる側になっている事を表す

つまり一言でまとめると広瀬すずは異次元級に可愛くて演技も天才だという事です
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