このレビューはネタバレを含みます
数々の映画祭を総なめしたミニシアター映画。
最初から最後まで凄かった。
女子高生のサトコは、プリンを食べたある夜、吐いた。初めは吐く意思があった。
次第に吐くと
「ごめんなさい」
食べても
「ごめんなさい」
を繰り返すようになる。
他人の眼差しを通して、自分がどう見えるかを知る。
「きれいになったね」と言われて、初めて自分がきれいになったことを実感する。
しかし、度々その過程を一足飛びに超えて、他者の眼差しの前に自分を映す鏡をボンっと置いてしまう。その時に見えるのは、自分のイメージが反射された「自分」だ。
サトコは、家族に「わかってもらえない」ことに傷つき、自分が「訳がわからない」ことに気づいたとき、初めて病院へと向かう。
そこで夜のOLマキと出会う。
なぜこうなったのかわからないことを吐露し、心の中身を全て吐き出し、中身が空っぽになったサトコにマキは言う。
「自分好きでいるの、諦めなかったんだね」
この病は、自分を好きでいることから始まる病と言われている。けど、「自分が好きで何が悪いの?」と言われた気がした。そして、マキはサトコが好きだった。自分を好きでいるのには他者が好きでいてくれること、マキの優しさが次第に染み渡る。
ギリシャ神話のナルキッソスは、自分よりも美しい他者、川の水鏡に映った自分を見つけ、水仙として姿を消す。彼は確かに美に病んでいた。
サトコは叫ぶ。
自分を好きでいるのを諦めないでください。