「ジェームズ・スチュアートみたいな役者になりたいと思ったんです」
予想はしていたけどとても演劇っぽい映画。
演劇としてならともかく、映画だとなかなか動きがない話だし、非常に長く感じる。セリフも演技も芝居がかりすぎていて、映像で観るにはだいぶ不自然。
ただ映画だからこそ本物の海辺に立ち、海風にさらされる仲代達矢を見ることができる。
最初から俳優・仲代達矢のために作られた作品なんだろうな。いきなり観ると少々とっつきにくい。
今の仲代達矢がリア王を演じたらどうなるだろうという解釈。
原田美枝子もいるし、先に黒澤明の「乱」を観てから鑑賞したほうが飲み込みやすいかな?
話運びが面白いわけじゃないし、独白多め。
気軽に人に薦められるタイプの作品じゃないけど、こういう役者あてがきの映画もありだなとは感じた。
老いて「みんなの思い出の中だけで生きていきたい」と語る姿は哀愁とあたたかみを感じ、その仲代達矢の表情にはきゅんとした。