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海辺のリアのyadokariのレビュー・感想・評価

海辺のリア(2017年製作の映画)
3.5
仲代達矢は『乱』でリア王(秀虎)を演じているけど、それを踏まえて(衣装に黒澤監督の娘さんのクレジットがあった)、老人ホームを抜け出した徘徊老人を演じている。登場人物も少なく演劇的。黒木華が野暮ったい娘を演じてまあ良かったけど、日本海の海辺は暗すぎて。

原田美枝子が『乱』にも鬼嫁役で出ていて、ここでも薄情な娘役。原田美枝子が仲代達矢の父親を騙していたわるシーンはホロッと来るところがあるんで、それは騙しているんだけどやっぱ黒木華よりは上手いのかもしれない。仲代達矢はやりたい放題でほんとにぼけちゃったのかもと思うほど。

物語より絵の豪華さ。そればかりが目について前半で疲れてしまう。強烈すぎるのもなんだね。城攻めで終わったのかと思った。物語的にはあまり発展性がない。そこがシェイクスピアとは違うかな。『リア王』はそれほど好きでもないのだが。仲代達矢は、『海辺のリア』という現代の『リア王』。
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