2019.11.13
串田さんの「月夜のファウスト」に出てくるファウストを思い出していた。生きて生きて生き抜いた末、すべてのものに見放されてしまう人間の姿。大舞台のスターが認知症になり家族からも俗世からも忘れ去られる中、たったひとり救ってくれるものもいる。だが、記憶というもの、感情というもの、言葉というものが、とても曖昧に溶け合うようにして、それでいて唐突に生まれては消えてゆく中では「社会人」としては生きてはゆけない。
見放す者たちの苦悩もまた見どころだ。
それでも、リアの語る言葉ひとつひとつを通して、ぼくは真実に触れている感覚になる。
ぼくに記憶というものは必要無い。皆様の中にあればいいのです。
そんな最後のシーンの言葉。
心に残っている。
この世の約束というものをすべて捨ててしまいたい。その姿を、みた。
よすみんの投稿で、朝、人はリセットすることができると言っていた。僕はこれまでの全てを捨てたい、リセットしたい。
これまでもそんな日がやってくるかもしれない。そんな時にまたもう一度見たい映画。