なやら

転校生のなやらのレビュー・感想・評価

転校生(2015年製作の映画)
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実社会以上に社会の不条理に直面させられる学生生活。文化が違えどそのニュアンスは万国共通なのね……キツいなあ。

主人公のブノワ君に思いっ切り感情移入して観た。素のままではイケてるグループから歓迎されないし、自分を捨ててうまく取り入るほどタフではない。一人でいるのは辛いけど、手を差し伸べてくれる変わり者に寄りかかる事も出来ない、という。クラスの主流派をウェーイなアホだと嫌悪しつつも、どこかで彼らへの憧れを捨てきれないこの感じ。よく分かる……よく分かるよブノワ!そして終盤、可愛い娘にちゃんと告白して超偉い!……泣けたぞ。

友達のデブとおじさんが超いい感じのメンター役。おじさんの無職上等なゆるーい感じと、デブのなんでもネタにして明るくいく感じは、日本にはあんまりない価値観だなと思う。おじさんの「靴を貶された時は、自分の靴を見るな 相手の靴を見て、反撃の機会をうかがうんだ」はけだし名言!

あと、この年代だとやっぱ「世界は女で回ってる」ですね。男は翻弄されるだけ。ジョアンナとのくしゃみ遊びはセックスの1万倍エロい。なんじゃアレ。丸尾くんみたいなアイツの勃起と、その後の「風邪移して」からのキスも最高でした。

それとパーティシーンでヒューマンリーグがかかって踊り出すところがイイ。そう、青春ダンスはUKエレポップと決まっているんですよ!!!(ジョンヒューズの功績)

ラストは一見キレイにまとまってる感じがするけど、ちょっと残念。結局クラスの主流派は軽薄でくだらない(不特定な男と歩くジョアンナのモンタージュ)、だから距離を置く、マイノリティ軍団はトンチンカンな所もあるが(あのド下手なコールドプレイをワザワザ聴かせる)、でも芯のある奴らだから主流派よりスバラシイ、といったカンタンで逆差別的な結論になっていないか? 主人公の未熟な主観に寄り添いすぎているというか。
ラストカットもなあ……あれを撮りたいからあの娘の足を不自由にしたのか?!と思ってしまった。
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