あかね

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのあかねのレビュー・感想・評価

4.6
よくわかんない映画。見終わったときに取り残されたような切ない感情になった。これははじめての経験。フィーリングで好き。

説明は一切ない。でも説明を入れてしまうと、場面をただ俯瞰するというこの映画の良さがなくなってしまうから難しい。自分はこの無味乾燥な感じが好き。

愛する女性の想いというミクロな出発点から、加速度的にマクロな世界へとジェットコースターの如くスケール感がアップする。その一方で、ゴーストは何も変化しない、成長もしない。
この映画では、ゴーストを人間ではなく、時間軸から取り残されてしまった概念的な存在として描いている。マクロな時間スケールで唯一変化しない永遠の存在。しかし、永遠にも思われたその存在は、ひとりの女性というミクロな視点に立ち返って消失する。

他の作品では到達できないレベルで、無常さを描き切っているという点が素晴らしすぎる。
当然こんな映画だから、途中で振り落とされる人も多数だろう。しかし最後までしがみついた人にとっては忘れ難い作品となるに違いない。
あかね

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