Omizu

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのOmizuのレビュー・感想・評価

4.0
観念的な映画。何回も見返して考えたい。

『マザー!』に近いものを感じた。家の中で次々他人が入れ替わり立ち替わり入ってくるという点で。まああっちの方が残酷で気持ち悪いけど。

人の生と死を遺族ではなく当事者の視点から描くことの斬新さ、また絵的な斬新さももちろん素晴らしいし、ミニマルな画面、美しい撮影、カメラワークの新しさと色々素晴らしい。

でも個人的には「人の」生と死を描くと同時に、世界の、地球の、宇宙の「生と死」、ひいては「生と死」の概念まで及ぶ話に見えた。

キリスト教的世界観も垣間見えた気がする。例えばあのパーティーのところ、メインで演説してる人はキリスト、神の象徴では。またその後の高層ビルは「バベルの塔」を指すのでは。

つまり、人類が進歩し、思い上がり、そして崩壊して元に戻る。

そうしたプロセスを象徴的に描いてるような気がした。深読みかもしれないけど。

最終的に、あの場所に縛られていたゴーストは「愛」の痕跡を見つけることで解き放たれる。それは単に「成仏」というものではなく、全てにおける愛の優位性を表すのではないか。
Omizu

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