海

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーの海のレビュー・感想・評価

4.7
ラブストーリーだと思いきや、SFだった。
久しぶりに、ずっと泣いた。

Cはシーツの下でどんな表情をしてたのか。
パイを掻き込むMはの絶望の深さは。
隠されたメモには何が書いてあったのか。
台詞が全く無く、多くを語らない映画だったけど、監督が観客を信頼して答えを委ねてくれているのを感じ取れる。想像の余白が広くて心地良い。

幽霊のビジュアルも余計な要素を削ぎ落としたシンプルな形だから、観る人がそこに感情や表情を想像しやすい。幽霊たちの優しさや虚しさがすごく伝わってきて、ただただ愛おしい。カリカリするCも本当に本当に愛おしい。愛おし過ぎて、いじらし過ぎて、もうやるせ無くて、ずっと泣いてしまった。ずっとカリカリし続けるCを、後ろから優しく抱きしめたい。

ラストの画も美しくて切なくて頭から離れない。
クレジットロールもあの余韻もずるい。
もうほんと、ずっと、ずっと泣いてた。
観客がほとんどいない映画館で、ひとりで観れて良かった。
海