mari

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのmariのレビュー・感想・評価

4.2
ただ見守ることしかできず
誰にも気付かれず
哀しさと虚しさを抱えながら、
それでも離れることができない場所から
開放してくれたのは、多分愛なんだと思う。

俳優さんに布をかけて
ずーっと表情を隠す贅沢さとか、
布を引きずりながら進む草の緑が
なんだかよくわからない綺麗さを放っていることとか、
画角の巧妙さにも目が離せなくなって、

紙に書かれた内容よりも
それを求めるひたむきな姿や
その存在や意味に魅了される。

パイを貪るように食べるシーンが痛々しくて
怖かった後に優しく触れ合うシーンが
優しくて柔らかくて悲しくて、
結局誰もが死ぬとしても
無意味なことなんて何ひとつないと思いたい。

時間の進み方の切り取り方も天才。
その場から動かない死後同士の表現も天才。
観終わって、ん?っとなって、数時間経ってから
だんだん心に響いてくる良作。
mari

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