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ヘアスプレー ライブ!のBuffysMovieのレビュー・感想・評価

ヘアスプレー ライブ!(2016年製作の映画)
4.1
映画版『ヘアスプレー』では、1000人におよぶオーディションから勝ち抜いたニッキー・ブロンスキーがトレイシーが選ばれたが、今回も新人マディ・バイリーオを発掘してきた。

ニッキー・ブロンスキーが体型のわりにキレキレ過ぎたせいもあるのか、若干ぎこちない感じがしないでもないが、独自のトレイシー像を見事に作りあげている。

NBCやFOXのミュージカル・ライブもそうだが、映画版や舞台版と違った豪華さを演出するうえでのキャスティングはとても魅力的であり、アリアナ・グランデやジェニファー・ハドソン版の『ヘアスプレー』が観られるというだけでも幸せな気分になる
ダヴ・キャメロンとクリスティン・チェノウェスは『ディセンダント』に引き続き親子役で共演しているなど、若い世代へのウケを狙っていながらも、作品としてのクオリティは保っているのが素晴らしい。

個人的には、ジェニファー・ハドソンがソウルフル過ぎるため、パワーバランスをもう少し考えてほしかったというのは正直なところだ。

中盤のモーターマウス率いる黒人グループを描くシーンでは、 ジェニファー・ハドソンの歌声の持つ力が上手く機能しているだが、ラストの「You Can’t Stop the Beat」は、もう少し軽い感じで歌わないと、ストーリーの重い部分と軽い部分のコンタラストにできないようにも感じた。

『ヘアスプレー』という作品は、人種差別という重いテーマを描いていながら、最終的にポップな作品に変換してしまうという作品なだけに、ジェニファー・ハドソンはある意味、責任重大だったのだ。

その点、映画版のクィーン・ラティファは絶妙なバランスで演じていたように思える。

どうしても映画版や舞台版と比べて観てしまうのだが、それこそが今作の醍醐味ではないだろうか。

映画的加工ができない分、音楽のメリハリが微妙な部分もあったりするのだが、何しろ生放送ということを理解して観てもらいたい…息切れもするさ…踊りながら歌うのって大変なんだから!

そこも含めて素晴らしい作品である。日本ではソフト化はされていないが、Amazonプライムビデオなどの動画配信サービスの有料コンテンツで観ることが可能だ。

アンコールのジェニファー・ハドソンとアリアナ・グランデの異色のデュエットだけでも価値のある作品だ。
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