Hailey

ワイルドライフのHaileyのレビュー・感想・評価

ワイルドライフ(2018年製作の映画)
5.0
3人の役者の個性が剥き出しになるシンプルながらもものすごく綺麗なシネマトグラフィー。前半のFoleyが印象に残る。ジェイクは人間的で衝動的な不安定さを持つ役が似合う。キャリーはグレイトギャツビーのイメージを持っていたけど、母親であり女性として揺れ動く姿がとても苦しかった(良い意味で)。そして今回の主役、エドがすごく良かった。静かでいて確固とした拒絶。家族は血の繋がりだけでものすごく強い見えないシールドで守られている気になる。確実に夫婦だった2人が一人の人間に成り下がっていく。人生を逆再生するような幼稚さと混沌と儚さ。風景描写としての望遠のロングショットが、尺は長いのに見ていられた。ロケーションがすごく美しい。家の中の暖色の灯りと裏腹に冷たい会話。色合いもわざと色褪せさせる感じではなく、時代にあった淡い色とファッションがキュート。車の小さな枠の中での物語展開やリフレクションがよかった。自分のバランスを取ろうと個々が必死な夫婦の一番近くで、ジョーはただひたすら立ち尽くしていた。子供らしく取り乱したり逆上することもなくただそこに存在していた。彼のクローズアップの長回しには特別な緊張感があった。混乱と疑問とやるせなさ。Wildfireとの関連性が分かりやすくて良かったと思う。The standing dead、そう言ったジャネットには崩れゆく夫婦関係への諦めが見えた。Mr.ミラーへの静かな嫌悪と壊れていく母親に対する疑問は怒りにならずジョーの心の底に溜まっていった。女性としての危ういジャネットと母親であるという二面性を、ジョーは俯瞰して見ていた気もする。後半、ジョーがジェリーを見る安堵の表情が必死の訴えにも見えた。彼はただずっと家族を求めている。それが例え崩れそうでも、静かにじっと耐えて行く末を見ている。ドラマチックでありながらどこか現実的。シネマトグラフィーとエドの演技に圧倒された。最後の写真館のシーンが泣けた。ポール・ダノのセンス好き

@ Arclight Hollywood
Hailey

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