えな

ワイルドライフのえなのレビュー・感想・評価

ワイルドライフ(2018年製作の映画)
4.4
一瞬奥さんマギーギレンホールかと思った。未来を花束にしてのキャリーマリガンさん。おかんの「チャチャチャ」連呼がつらい。それにしてもジェイクはどこへ向かってるのか。どんどん演技が繊細になり凄みをましてる。トラックに乗った彼の深呼吸の表情にはっとした。逃げやがった。
本作品はおなじみ若手実力派俳優ポールダノの初監督作品らしい。天才なのかな。初監督なのにここまで繊細な物語を選ぶ度胸がまずすごい。1960年代って生まれてないやろ。そしてそんな昔のささやかな物語を一瞬一瞬完璧につくりあげていて圧巻。雑念がなさそう。無駄のない間、光や影の使い方、定点撮影、小物や色づかい、何もかもすべてに正しい判断をしていると感じた。皮肉や強がりから垣間見える大人の弱さずるさ、子供の心をひりひりと感じる。もっとセリフの細かなところも知りたくて久しぶりに「字幕なしで理解できたらな…」と思った。
終わりまで観て、はじめを観なおすとほんとにジョーがすこし幼く感じる!子供って大人をしっかり見てるし、息子って優しい。親は勝手だ。頑固な大人は弱い、でも子供はもっとまっさらで弱いのにすべてを受け止めてしまうと思ったら苦しくなる。ジョーが最後まで3人でいようとしていて切なくなった。それにしてもジョー役の彼は素晴らしかったー。俳優情報見たら2001年生まれ!若い。ポールダノの演技力を思い出させる素朴ないでたちや目線で、くまのプーさんにちょっと似ててかわいい。
なにげに金持ちの太ったおっさんのことも好きだったよ。夕食のやりとりが心に残ってる。写真屋さんのおじさんもよかった。話は息苦しいけど色んな場面をもっと観たくて、連続で丸々2回観た、翌日もまた通して観た。終盤がつらい、けれど、見れば見るほどそれぞれの心情が丁寧に表現されてるのがわかってこっちまで気持ちが振り回される。ほんとにとんでもない秀作だ。控えめな音楽もとても好きだった。唯一の不満としてはジェイクギレンホール目当てだったので出番がやや少なくてちょっとさみしかったwけれどこんな素敵な作品を観られてうれしい。ありがとうございます。黄昏時きれいだった。
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