りーちゃん

グッド・ネイバーのりーちゃんのレビュー・感想・評価

グッド・ネイバー(2016年製作の映画)
3.2
“このジジイ、かなりヤバい” だって?
『ドント・ブリーズ』がそうであった‥この映画もその類いか。面白そう~!
と思って速攻借りてしまいました。最近は老人のスリラー・ホラーものが結構出てるもんね。

このおじいさんを演じるジェームズ・カーン、皆さん覚えていますか?あの名作スリラー『ミザリー』のポール・シェルダンを演じた方です。
あの名作スリラーに出ていた人物が演じるヤバい爺さん‥
どんだけヤバいんよ!!と、そんなの聞いちゃったら、誰もが観たくなるでしょうよ!
爺さんが、色々やっちゃうんだろうなぁ‥ワクワク。

しかし、この映画、二人の若者がひとり暮らしの孤独な老人にドッキリを仕掛ける実験を行うストーリーで、ラストに大きく予想を上回る結果となります。

コラー!このジャケットの煽り文句考えた奴出てこーーーい!!!泣

ちょっと倫理的にどうなのか?胸糞悪い結末ですよ‥
まぁ、おじいさんもなかなかの偏屈爺さんぶりだども‥

仕掛けたカメラで見るという事から、POV方式かと思いきや、混ぜこぜな感じで、完全POV方式では無く一部に混ぜた感じです。
そして、法廷のシーンも小出しに織り交ぜ、関係者らしい人達の質疑応答を挟みながらストーリーが進行するので、結末を色々とミスリードさせられるし、グッと引き込まれ、少し間のび感はあるものの構成は上手いと感じました。

あらすじ的には、若者2人が怪しげな隣人を観察し何かが起きるようなことが書いてありますが、地下室に在るものが何か理解した後には、この若者の視点ではなく老人の視点で観ることになると思います。
老いとは悲しいものだなと思い、若者の仕業はともかく、この映画の老人が自分の老後であったり、親の老後であったとき、強いパンチを受けます。
ただの若者のイタズラと一蹴できないだけの動機も少しありますが、なんといってもお爺さんの心情を思うとやりきれない気持ちになります… 「ああ呼んでる」と思ったのでしょうね…悲しい。辛くてしばらく動けませんでした。

そんな悔しさに、ラストの主犯の少し満足げな表情が拍車をかけます。
実験が成功したからか、自分が注目の的となっているからか、あるいは両方か。
冒頭に、とある実際にあった実験結果として、被験者は神を信じるようになったと言いますが、残酷な偶然から神を見失ってしまった老人に、私は膝を折るしかありませんでした。

そして、エンディングを飾る60年代のソウル。
雨の日に観る映画ではありません。
これから見る方は、まずサスペンスではなく、ヒューマンジャンルだと思って観て頂きたいなと思います。

それにしても、ドントブリーズがレンタルされ、そのB級扱いとして、集客目的にブツけた謳い文句なんでしょうが、悪意すら感じてしまう内容です。