流れとしては、お笑いコンビ、アンジャッシュのコントに近い物語で笑いを誘った後に、温かさを出して、感動させようとしている作品だった。メッセージの主張が弱い点や、短絡的といったら良いのか、やや強引に物語を締めている感じはマイナス要素だと思う。言い換えるならば、プロセスが良くなかった。だが、前半のギャグ要素に加え、結末を含む話の筋自体は前向きな内容で、心に来るものがあった。
ところで、作中にて登場人物の前園は過去と向き合う事の大切さを説いているが、おそらくこれが本作の主題なのではないかと思う。そして、過去を受け入れる事で、初めて現実と向き合えるという事を表現したかったのだと私は考える。根拠として、エピローグで、前園が無地に続編を出せた事も、則男が社会復帰出来た事も、これを裏付けているのだと思う。だが、もしそうだとすると、あと少し深みが欲しい。良くも悪くもあっさりとした作品なので、感動の振り幅が小さくなっていた。万人受けはすると思うが、そこに留まる作品だと私は感じた。
(内訳)
面白さ 3.7
学び 3.3
構造 3.3
