えいこ

羅生門のえいこのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.7
黒澤明作品2作目鑑賞。こちらもまた名作。「藪の中」原作とのことだったので、青空文庫で読み返してみると、象徴的な言い回しはかなり忠実。複数人の証言形式の原作を、映像化し演出するその脚本の力と表現力に感服。

三船敏郎の野蛮な可愛げは健在。京マチ子の妖艶な怖さはモノクロの画面に映える。殺伐とした羅生門のセットとやさぐれた下人。死霊を呼び起す巫女のおどろおどろしさ。カメラワークは全く古さを感じさせず、モノクロならではのコントラストが効いている。

手前勝手な人間の暗部を描いているが、三船の快活さと京マチ子の美しさでエンタメ化され、最後に雨が上がって志村喬が歩き出すシーンで、法師の台詞同様に救われる。
えいこ

えいこ