ツクヨミ

羅生門のツクヨミのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
3.8
"羅生門スタイル"と呼ばれ世界で絶賛された黒澤明監督の一品。
雨が降り頻る羅生門で雨宿りをする男が3人、すると1人の男が奇妙な話を語り出す…
黒澤明監督作品。今作は"羅生門スタイル"と呼ばれた多視点から語られる事件の顛末を順に見ていく展開が面白い。それも事件の当事者の多襄丸と真砂、死んだ夫が乗り移った巫女、語り部の男と4人の話が全て異なっており真実は闇の中だ。結局は語る人間が勝手に物事を解釈するという人間の愚かさというか本質を炙り出すのが今作のテーマであろう。
そして今作は撮影としても実に面白く、大胆なズームインアウトやクローズアップ、人間をぐるっと回って撮るドリーショットなどカメラワークが際立って光っていた。映像としても実に映画的な面白さがあると言える。
そしてラストは一抹の人間の優しさが垣間見える良い終わり方。演技的に見ても三船敏郎や京マチ子の迫真の演技にも痺れる秀作に仕上がっていた。
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