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羅生門のぐりのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.0
とにかく台詞に無駄がない。全ての台詞が必要不可欠で、現代にも通ずる核心を突いた台詞が多くあったのが印象的でした。そして台詞がないところでも人物の行動や言動、思考がよく伝わってきたのも凄いなと。序盤で杣売りが死体を発見するまでの一連の流れを回想するシーンから一気に引き込まれましたね。検非違使は映らないし話さなかったけど、確実にそこにいたし。回想シーンを言葉で全て説明しないところも、BGMでわかりやすく雰囲気を表現してるのも(あえて終盤BGMなしにしたのも)、カメラワーク(特に近づきすぎない引きの戦闘シーン)も、どれも凄く良かったです。

でも、話としては難しかったな〜🌀教科書で読んだ「羅生門」の話かと思ってたんですけど、「藪の中」という作品をベースにしているみたいですね。真実のストーリーは当事者の3人ともに非があり、プライドや罪悪感のせいでいっそストーリーを書き換えて自分のせいにして羞恥を晒すことなく許してもらおうとした、ってことかな。他の人の考察でなるほどそういうことか!となりました、ありがとうございます。

盗賊の多襄丸役の人スゲーと思ってたら真砂(被害者の妻)も巫女もみんな凄かった。杣売りが話した真実の中で、豹変した真砂が金沢(被害者の男)と多襄丸を男らしくないと否定したところがほぼ無音なのと相まってめっちゃ怖かったです。

人を疑うより信じるほうが素晴らしいと、人間の良心に希望を見出したラストを、天気が土砂降りの雨から晴れに変わることと繋げて表現したのもよかったです◎初の黒澤明監督作品でしたが、映画の原点の香りがしましたね〜〜本当に凄かったです。
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