甲子園の魔王

羅生門の甲子園の魔王のネタバレレビュー・内容・結末

羅生門(1950年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

世の中がエゴイズムに溢れても一欠片のヒューマニズムに縋って生きていくしかない。

タイトルは『羅生門』だけど中身の9割は『藪の中』。原作は『羅生門』の方しか読んでないので、てっきり死に髪剥ぎ取りおばあが見られるものだとばかり思っていた(いや別に見たかないが…)。

白黒映画だがコントラストを強調しまくった画作りをしていて、藪の中に差し込む木漏れ日が美しく映える。現代においても美術的価値の高い映画。

名前は聞いたことあるけど顔を知らない俳優ランキング第1位の三船敏郎(クソ失礼な事言ってるけど、少なくとも自分達の世代は顔すら見た事ない奴がほとんどだと断言できる)。
出演作を見るのはこれが初めてだけど…役者として強っ!渋っ!野性っ!汗っ!役きたなっ!
登場した瞬間から他の役者陣とは明らかに異質な輝きを双眸から放っている。いや功績を知ってる現代人が後出しで威光に乗っかってるわけじゃなくて!俺にはわかるんだうん。

BGMボレロっぽくてかっこいいなーと思ってたけど、ボレロの故国フランスでも当時「いや似過ぎちゃう?」と物議を醸したらしい。デジモンオタクはボレロに対してだけはやたら鋭い。



映画の内容とは関係ないんだけど、本作を調べていたらヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した時のエピソードを発見した。それによると黒澤監督は映画祭に出品されていた事すら知らず、授賞式には関係者はおろか日本人が一人もいなかったため、代わりに通りすがりのベトナム人観光客に金獅子像を受け取らせたという。そんな事ある?
甲子園の魔王

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