武士の死体が発見されるところから物語が始まり、当事者の4名から事情聴取するが全員の供述が食い違う。一体これはどういうことなのか。
人間のエゴイズムに焦点をあてて描いた芥川の羅生門から話を広げ、より醜い形で昇華されている。
なんという脚本力なのだろう。
一見全く繋がりがないように思えるそれぞれの当事者の供述は、最後に一つの点に繋がり次の物語を紡ぐ。人間に対する深い絶望と少しだけ残る希望を深いコントラストを持って表現する。
本作品以降このような同じ出来事を登場人物毎に視点を変えて表現する映画手法が一般化したというが元祖にして頂点といってもいい傑作。