aya

オン・ザ・ミルキー・ロードのayaのレビュー・感想・評価

4.1
友人に勧められ、「劇場で観て欲しい」という言葉に背中を押されてスケジュールに捻じ込み、観てきました。友人よ、背中のみならずツボまで押してくれてありがとう。

絶妙なアートバランスをお持ちの監督で、全然知らなかったことが恥ずかしい。
過去作品も絶対に観よう、と思いました。
ミシェル・ゴンドリーともウェス・アンダーソンともクリストファー・ノーランともターセム・シンとも異なる『ファンタジック・ナマモノ使い』。
まだいたのか!という驚きでした。

舞台は、見て!と言わんばかりの大自然、生き物たち、人々の営みと死。ファンタジーと異国と郷土の濃縮度が凄まじい。悲壮感と「どう見ても戦場」な世界にユーモアと明るさを散りばめてあって、それこそもう大宇宙。

シンプルな単語を並べた純粋な愛の詩を、素朴だけど美しい素材の紙とペンで何枚も何枚も力強く書く、っていう感じの作品でした。
生と死は表裏一体だけれど、愛には裏も表もない。意味があるか、ないかというだけ。けれどそれはすなわち私であり、あなたでもあり、ひとりではなくふたりである。そんなような内容でした。

ロマンス部分はスタンダードな基礎をいきつつ、思いもよらぬ奇抜なトッピングをした演出。光と色の効果がしびれるほどロマンティックで、『こんなラブロマンスがスクリーンで観られるなんて生きててよかった』と感動しました。
「きれいだ」「それは私の不幸よ。私の美しさも、あなたの優しさも、人の悪さを引き寄せる」
というような台詞の応酬は、映画歴の浅い私みたいなぽんぽこりんが劇場で体感して心打たれてる場合じゃないよね⁈ってくらいヴィンテージ感溢れるものでした。
そんな台詞を繋げつつ展開はあんなにもダイナミックっていうね。 やられたわ…

モニカ・ベルッチの役が、モニカ・ベルッチ以外はあり得ない感じ。120点のキャスティングでこんなのずるいよ、って思いました。『世界の惚れて当たり前な美女』選抜です。

あと、サウンドトラックも最高。所々歌がはさまるのも好き。セルビアとかユーゴスラビアとかあの辺り全然全くなんの知識もないけれど、だんだん台詞が気持ちよくなってくる。

良かったです。価値観が近い人には薦めたくなる。
近頃 微妙な作品が続いてたので、リセットできてすっきりです。
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