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オン・ザ・ミルキー・ロードのyukacafeのレビュー・感想・評価

3.8
今年1月にギンレイホールのオールナイト3本立てでクストリッツァ監督作に出会って大きな衝撃を受けて以来、初めてリアルタイムで公開作を観られるのを楽しみにしてきた。

特にUndegroundは個人的ベスト10に入るくらい好みの作品だったのだが、本作は冒頭からあまりにカオスでグロテスクとも言える描写に、正直嫌悪感を覚える程。

しかし物語が展開されるにつれ、そうだ、これがクストリッツァワールドだった!と思い出させてもらえる。戦禍での狂騒にちょっとネジの外れたキャラクター、ウンザでの群舞に狂気すら感じるダンスシーン、シリアスとユーモアのバランスなど、一気にその世界観に引きずり込まれてしまった。

物語の背景や登場人物達の過去が過剰に説明されることはなく、それを動物、音楽、銃声、花嫁などのクストリッツァ的なモチーフとエネルギーで表現していく。どこを切り取ってもクストリッツァだと感じられる画づくりはやはり唯一無二の存在で、これからも彼の作品を追い続けていきたい。
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