YukiSano

サスペリアのYukiSanoのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
3.8
格式高いゴアアート。

メタファーだらけの芸術作品として研ぎ澄まされているので、新たな傑作深読み難解映画が誕生した。モチーフ的にもラストのはっちゃけ具合もヘレディタリーとよく似てる気がした。てか同じもの描いてない?

オリジナルは未見なので比較やオマージュが分かってないだろうが、ドイツ赤軍とカルト集団、ユダヤ人狩りと魔女狩り、などあらゆる象徴的共通項がひしめき合っている。

ゲイの監督が女性のパワーについて描いていること自体が象徴的であり、メッセージを感じる。

主人公がドイツ系移民で異邦人ではなく帰郷を意味している所までは理解できたけど、もはや途中から心地よくついていけなかった。主人公はスージーと見せかけてサラに視点が移り、最後に本当の主人公が誰なのか分かった時に、この作品は歴史の悲しみと愛についての映画だと悟る。凄い着地点だ。

極めつけはティルダ・ウインストンの1人三役である。最後まで全く気づかなかった。

「君の名前で僕を読んで」も3人のキャラクターが実は同一人物を分離させたものだったと後で知ったが、この作品も同じことをしているのだと思うと鳥肌が立つ。

そこからメッセージを何となく想像できるし、今の時代に繋がってくる。

しかし、そういう深読みの楽しさだけでなく、ラストの北斗の拳な展開はホラーマニア大感激シーンだろう。あそこまで行くと美しい。

祭の後片付け場面も衝撃的に笑えて懐の深い作品であった。

最後にスージーが掴んだもの、それは現代人へのメッセージに違いないだろうが、何なのか分からないので今夜は眠れない…
YukiSano

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