ゆーや

彼女がその名を知らない鳥たちのゆーやのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて鑑賞しました。
まず導入が原作とは異なり十和子がクレームの電話をしているところだったため驚きましたが映画の導入と考えるとうまいなと思います。
十和子の嫌な部分が全面に出ていて第一印象最悪。なるほど共感度ゼロ。
そして陣治の執着や異常さ、怖さを際立たせるためにいいエピソードは全てラストにもってくる。
徹底して各キャラクターの嫌さを出しラストに泣かしにくる組み立て方だなと感じました。
個人的に陣治の怖さをもっと際立たせる夜ふらふら人ではない顔で歩いていたエピソードが欲しかったです。
国枝を今の十和子と絡めたのは驚きましたがなるほど、そこから過去を思い出す自然な流れがうまく作用していました。
原作があの文字と描写のボリュームなので物足りなさは否めませんでしたがうまくまとめて着地させたなと思います。
今回はキャスティングが兎に角素晴らしかった。文句のつけようがありません。蒼井優さんの表情があるからこそ【何故男たちがこんな酷い性格の十和子に惹かれたのか】がわかった気がします。そして陣治の前と黒崎・水島の前の声色やしぐさの違いが鳥肌ものでした。
阿部サダヲさんのいい人に見えるけど時折みせる狂気じみた表情や汚いおっさん感、不器用な感じが本当にぴったりでした。
クズ男のお二人は何故今まで好青年しかやってこなかったのか、勿体ない!と思わせるクズっぷり。竹野内豊さんは十和子に暴力をふるうシーンもそうですが歯が浮くセリフが似合うのに今回は胡散臭さ満載でお見事。
松坂桃李さんは水島のヘタレ変態感、最後の逃げていくところなど最高でした。いつもあんなに存在感があるカッコいい役をされているのにあの逃げは完全に小物男水島でした。
映像や音楽に派手さはないですが退屈はしなかったです。水島が出て来て二人の日常が変わっていくあたりから時間があっという間に感じます。
兎に角面白かったです。
原作読了の方は本当にオススメします。
ゆーや

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