くれそん

彼女がその名を知らない鳥たちのくれそんのネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

阿部サダヲさんが好きなので、原作を読んで公開まで楽しみにしていてついに鑑賞。

原作で内容を知っているから陣治の眼差しや行動が切なくて温かくて愛おしくて涙が溢れてしまった。

ただ、原作を読んだからか、ちょっと物足りない気持ちになってしまいました。
小説の、ラストまで読み終わった後の喪失感というか苦しい気持ちというかなんとも言えないあの物悲しさが、映画にはない。というか、感じられなかった。
濡れ場があるのは原作にもあるから別にいいんだけど、そのシーンで尺とるなら、違うエピソード入れた方が良いのでは?と思うくらいは多かった。原作をある程度忠実に実写化してくれているけど、なんていうか薄い。

阿部サダヲさん、演技やっぱりさすがでした!
陣治を「愛される人間」に昇華してくれている。ただ、阿部サダヲさんに抱いている私の勝手なイメージのせいか、そんなに不潔で下劣な感じはなかった。
しかし、監督の演出がなぁ。阿部さん肌がもともと白い方だから、なんか塗って浅黒くしているのが違和感。じゃあどうすりゃいいんだよ!?と言われたら困るけど。
ジャガイモ持って十和子を追いかける所も、ジャガイモ必要だったかな?陣治の不気味さ、気持ち悪さよりも、ふざけてるのかと思った。笑
アパート買ったよ!ってぴょんぴょん飛び跳ねてるところはめちゃ可愛かった!笑笑
黒崎役の竹野内豊も黒いの気になった。チャラ男だから?笑

意外と松坂桃李が良かった!薄い男の演技が上手い!

作中の間に入るエピソードをラストに持ってくるのは、面白い構成だなと思ったけど、陣治が走りながら十和子!(音声無いので想像ですが)と言いながら走るシーンは少し冷めてしまった。泣かせようとしているのかなぁというやり過ぎ感も否めない気はした。

最後の十和子のセリフ、全然心に響かず終わってしまった。
あの言葉は、十和子が言うんじゃ無いから切なくなる言葉だったんだな、と理解しました。

期待し過ぎたんだきっと。観ているときは泣けるけど、エンドロールでスッと涙が引いてしまう心に残らない作品でした。

悪くはないけど良くもなかった。
くれそん

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