katomitsuho

彼女がその名を知らない鳥たちのkatomitsuhoのレビュー・感想・評価

4.0
登場人物は全員クズ?そんなことは全然無い!!!
いや、側から見たらみんなただのクズなんだろう。だけど真相は、当事者だけが解る究極の愛の物語だった。

鋭い観客はオチが読めるのかもしれんけど鈍い自分は、十和子と同時にフラッシュバックを起こした感覚を味わった。うわぁ〜〜と、鳥肌ぶわ〜と。
そうなればもう全て納得がいって。傷を負った当事者だけがわかり合う愛の形だ、と。
弱みを持った人間と、その弱さに触れてしまった人間の、他人には説明できない決して解ることができない強い絆というか。

劇中で流れた何気ない十和子と陣治のシーンが終盤の回想シーンで再び使われたりしたけど、2人の関係性の真相を知ってから見ると、同じシーンなのに全然違って見える。
あぁ、愛しい、と。2人の愛の形に触れてしまってから見ると、どうしようもない2人が愛しく見える。

とまぁ何よりもそんな2人を演じた蒼井優阿部サダヲがほんと天才的に素晴らしい。「救われた、神様ありがとう」と陣治が思ったというシーン、そこの2人の演技が無音での回想なのに表情だけで鳥肌ものの演技力。
蒼井優さん本当に魅力的すぎてやばい。色んな表情が見られるし人間味溢れ過ぎ。芝居だとは思えない。

自分はクズじゃない、普通の人間だと思い込んでいる人がこの作品を見たときに共感度0%になるのは間違ってないかもしれないけど、そうは生きられない人を目の前にしたとき、自分もクズになりうる可能性があるかもと思わされた。共感というか、わかる気がした。不快度なんか一切残らなかった。
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