松浦義英

彼女がその名を知らない鳥たちの松浦義英のレビュー・感想・評価

2.5
鳥が三匹飛んで無数の鳥が追随する。

蒼井優の濡れ場しかないような映画。
蒼井優と阿部サダヲの演技は流石。

種無しって設定だから仕方ないけど上手く表現してるよなあ、必然性を。
でもその濡れ場がある意味ないとダメというか、嫉妬心の表れを濡れ場で発散する不器用っぷりを表現と。

松坂桃李の『「あ」って言ってみて』は強いわ。
でも咥えられてどれだけ感じているのか(笑)
不倫を容認するなら別れた方が良いんじゃないのかって思うのはまだ幼いのか俺が?
…阿部サダヲは無償の愛が凄いなあ。好きなんだなあ蒼井優が。
でもその後逆転して、逆転したのを映画で見せてるんだろうなあ。

大阪のおばさんクレーマーと化している蒼井優。
そして浮浪者ギリギリの阿部サダヲ。
阿部サダヲも阿部サダヲで愛情の表現が下手なんだろうね。

自分のことしか考えないで、
自分のことしか見て欲しくなくて、
でも自分の永遠の下僕にはなってほしくなくて。
かまってちゃんの強化版みたいな。

こんな女現実じゃ絶対に嫌だけど、嫉妬深いけど、不器用な愛だけど、多分それ以外の方法を知らない女性なんだろうなあとは思えた。
だからこの主人公の女性が、現実にいそうだなあとは思えたもんね。
濡れ場が上手い女優ってこういう感じなんだなあと。
やっぱり蒼井優は演技上手だなあと。
宮崎あおいはこういう演技難しいんだなあと思える。
…どこか原田美枝子の若い頃に被った。

「死ねば良いのよ、浮気するような男なんてみんな」
「アカン、一通逆走しとる」
わかりやすい対比だけど、怖くて痛くなるセリフだった。
脳梗塞のおじいちゃんは気持ち悪さがピカイチだった(笑)

最後のナイフは予想してなかった。
作品全体に流れる空気にドップリで真相に全然気付けなかった。
こういう性格の女はやっぱりどうも嫌悪するなあ…。
そしてラストは話してる時点で予想出来た。
「罪の重さを提示して終わり」ってモヤモヤする

この監督の映画はもれずに見返したくない映画だけど、すんごい小さいメッセージがずっと心に残る話作りしてるよなあ。
心に残る意味ではイーストウッドと同じだけど、ドロドロに描きすぎてねちっこいよね。
…『ミスティックリバー』観ちゃうとなあ。
大きいもの描いてたからなあ。

「たった一人の私の恋人」
ってのもわかるけどそれならもっと向き合ったれよ!
向こうは最後に精一杯向き合って、真っ当な道に誘導したのに。
って思う。
ラストにあれ言うのは響いてない証に思う。

邦画では「罪」に対する贖罪とか重さとか一切に描かれないんだもんなあ。
本当に違和感が残る。
誰かにとって良い人間でも、その人間は明白な罪を犯しているんだよなあ。
邦画はそんな感じだよなあ。
それに対して精神論としての贖罪しか課さない邦画ってどうなんだよって。
松浦義英

松浦義英