さーやorべりす

私は絶対許さないのさーやorべりすのレビュー・感想・評価

私は絶対許さない(2018年製作の映画)
3.8
これ、レンタルのみですよね?(今の所)
特典の撮影中の映像見れます。見ると、すごい大変なんだなって思います。
この映画、サウンドトラックとか挿入音楽とかほぼなくて大事なシーンに音楽が入る作りじゃなくすべて「カメラ」に記録されている設定の音のみです。なのでより映像も普段の映画より大事です。
雪が降らなくて雪を作ったり(屋根は白い布かぶせてるだけだったけど全然映画見てるとき気にならなかったすごい)、何しろ今回主人公目線のカメラシーンばかりなのでほぼ女優さんと一緒に動いててカメラマンさんも演技してるみたいな感じですごい大変そうだった(黒澤明監督はカメラは演技するなって教えらしいですけど真逆にカメラも演技するとおっしゃってました)。
はたからみると2人三脚。
主人公の女優さんだけじゃなく他の俳優さんたちも「演技をカメラ目線でする」ということがあまりないみたいな話だったり、カメラ目線でこういう気持ちで見つめるとかそういう確認を何度も行っていたり、何かをかぶせてあげる(主人公の目の前にカメラがあるのでカメラにかぶせる)とか整形後の自分を鏡で見るシーンとかも看護婦役さんと主人公さんと協力するとか、映像のためのリハやリテイクが多くていつもと手法が違うとやること増えてるんだなって、大変な映像だなって感動しました。

その主観カメラのこだわりから、主人公がレイプされてメガネをなくしたあとはずっとボケてるんですよね。あれが「主観カメラである説明を省いてでも理解できのめりこめる」タネでもあった気がします。

ストーリーは実話。
生きていればたまに想像も絶する家庭環境だったことや強姦されたことをケロッと話してくれる友人や、過去や家庭環境のせいで結婚観や恋人選びの【普通は考えないであろうこだわり】などを聞いたりすることもあります。
特に多感な時期、高校卒業して友人がたくさん増えたあたりでこういうセンシティブな話しをしてくれた友人が数人いました。
ぬくぬく何不自由なくしてくれる親への反抗で自分なりにはすごく葛藤していた時期だったので、わからなさすぎて「簡単に同情する人やわかるわかるなんて話聞いてる人は滑稽だし、両親ともにいて何不自由なく生きてきたからそもそもすべてをわかってあげるなんてことはできない」とその時結論づけたのを思い出しました。
これがゴリゴリ人間関係も凝り固まってしまう年になってから聞くなんてことがなくて良かったと思ってます。

この主人公は「レイプ犯に復讐する」ことを糧に生きていて、「もう死んだ人間なんだから何してもいいでしょ」みたいな開き直りで生きていきます。
性を売りにして家族からも逃れられたし、新しい世界で友人も作れたけど結局は憎しみが強いうちは完全に切り替えられないものですよね…。
学校でいじめられてたみたいでそういう友達ができなかったみたいだけど、それでも受け入れてくれる友人を見つけられればもう少し転機もあったのではないのかと思うし、結局は大学<雪村さん(元夫)なあたりが男の人を憎しんでいる割には男性に行くし、依存してるなと思った。
リスカ跡のある人とか看護婦さんって闇深い人多いイメージがあるから典型的な話だし実話だから仕方ないけどああよくあるパターン…と展開は読めたけど、やっぱり最初のレイプシーンが衝撃的すぎてほんと悲しかった。自分でメガネ取りに行くのとか怖くて怖くて…と思うと。
それだけの衝撃的で胸糞悪い映像が出来上がったことはすごいなと思って映像としての評価はとにかく高くなる作品です。