アメリカ史を語る上では欠かせないであろうJFK暗殺により、自動的に大統領に就任した"LBJ"ことリンドン・ジョンソンを描いた作品。キャスト、制作陣共に豪華なのになかなか観られていないから残念。そのぐらい、この映画はジョンソンという男についてリアリティを伴いながら描写していると思う。
この映画の１年後ぐらいに同人物を描いた「LBJ ケネディの意志を継いだ男」が公開されたが、どうも内容が偏りすぎていて、彼があまりに美化されて描かれている(人間味がないと言えば良いのだろうか？)ために、本作の良さがわかった。(なお時系列的には暗殺までが前述の作品で描かれているので、2作続けてみればそのまま時代が進む)伝記にもあるように、彼は気性が荒くなかなか傍若無人な態度を取る。しかしそんな虚栄心を吐き出すようなシーンも含まれているから実にリアルだと感じた。
キング牧師を演じたアンソニーマッキーの安定した演技も良かった。そして彼が共産主義者とつるんでいたり、キリスト教をベースに人々に説法する割には不倫していたりと、事実を隠さずに伝えている数少ない歴史映画であることも自分の評価の所以だと思う。
歴史ドラマとしては出来が相当良いし、この時代について知りたければ良い入門になるかもしれない、そういう自分が全て時代を理解していると言えば嘘になるが。
