原作未読。
繊細で美しい世界の広がりと、それに向き合う人々が持つ静かに燃え上がるような情熱を感じられるのが印象的な作品。ピアノによって奏でられる音がするりと入り込んでくるような演出で、音によって頭に浮かび上がる情景が映像とリンクしていくのが良かった。
台詞ではなく空気感や音楽で作品を作り込むことで、世界観により深く浸ることができたと思う。個人的に演出や音楽がとても好み。
ピアノだけではなく、そのピアノを弾く人とも真摯に向き合い音を作っていくことが求められる調律師。今作でピアノがとてつもなく繊細な楽器であることを知れた上に、調律師の仕事ぶりもじっくり見ることができて大変興味深かった。
ピアノを弾けば誰もが独りであり、それを一生懸命に支えるのが調律師。この仕事のやりがいはやはり何にも代え難いものがあるのだろう。
同じピアノでも人によって全く奏でられる音の調子が違うし、求める音も違う。それに応えようと奮闘し成長していく主人公の姿勢や、周りの人たちの暖かさがじんわりと伝わってきたのが、中々心にきました。
