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メアリーの総てのleylaのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
3.7
小説『フランケンシュタイン』の誕生秘話。フランケンシュタインの作者が女性だったことは知らなかったです。

フランケンシュタインといえば『哀れなるもの』にも、ビクトル・エリセ監督の過去作品にも関連しているので今作は自分の中ではタイムリーな鑑賞。200年以上前に18歳の少女が書いた原作が今も多大な影響を与えていることに驚きです。

1800年代のイギリス、18歳のメアリーが書いた『フランケンシュタイン』。女性であるため、書いたことを信じてもらえなかったり、女性が著者であることは伏せたいといった出版社の女性蔑視により第一版は匿名で出版され、第二版でようやく本人の名前で出版される。

メアリーは、母が自分の出産により命を落とし、妻子を捨てただらしない詩人と駆け落ちし、産んで間もない子供を亡くすなど、弱冠10代で孤独と哀しみをどっぷりと味わう人生を送る。その経験が『フランケンシュタイン』を生み出したということらしい。死んだ人を蘇らせるという発想が、母に会いたい気持ちと通じているのが何よりも切ない。

ああいう男に女は弱い、というお手本みたいな詩人に恋してしまうメアリーは、まだまだ10代の恋愛偏差値低めの乙女。エル・ファニングが熱演し、衣装ともども可愛いかった。父役のスティーヴン・ディレインの落ち着いた態度が味わい深い。

フェミニズムな作品で、サウジアラビアの女性監督ということで納得でした。

同時期、同場所で生まれた『吸血鬼』も、著者は医師だったのに詩人バイロンの著書とされてしまうなど、イギリスの封建的な体質が垣間見えた作品でもありました。


*bennoちゃん、ありがとう*
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