面白く観たが、前もって期待し過ぎてしまった感。最近のフランケンシュタイン映画ではいつも大号泣してしまうのだが、創作物そのものが良過ぎるのかもしれん。とはいえ、なぜ怪物が生まれてしまったのか、その最も重要な指摘がまさに描かれている。
力を持つことを許されぬ若い女性が、社会にその存在を殺されずに強く生きていくこととは。むしろ妹により深く表されているかも。そして女性の不遇とばかり見ていたら、ラストの解説に慄然とする。ディオダディ荘の怪奇談義から生まれたフランケンシュタインと吸血鬼。弱者を踏みつけにする社会の残酷こそが怪物の正体なのだ。
調べてみると『吸血鬼』はバイロンが構想の段階で投げてしまったのをポリドーリが引き継いで完成させたとのこと。吸血鬼はゲーテ『コリントの花嫁』も。その後『吸血鬼カーミラ』などを経て、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』に至る。
昔のフランケンシュタイン映画は、最も重要な「愛もなく、なぜ造った」という創造主への愛と憎しみからくる慟哭を描いていなかったように思うんだけど、どうだっけ。その点ではケネス・ブラナー&デ・ニーロが凄まじくて、泣き過ぎて息絶えかけた。