ブラックユーモアホフマン

イット・カムズ・アット・ナイトのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

3.2
タイトルと宣伝のミスリードが癇に触る。もっとストレートに売り出しゃいいのに。
とは言え、そのバイアス抜きで見てもまあ凡作かなぁ、、、と思いました。

ホラーってジャンルを、恐怖そのものを描くことを主題にしたジャンルだと定義するなら、まあこの映画もホラーであるには間違いないんだろうけど、でも正直この映画みたいなものを、少なくとも僕は、ホラーを観る時に求めてない、っていうか。””結局、人間が一番怖い””とか、「あ、そんなのクソの足しにもなりゃしねえんで、結構です」って感じ。もっと禍々しくて、理解の範疇を超えた、ヤバイものが観たい。そうじゃないなら、わざわざホラーっぽくしなくていいじゃないか。サスペンスやアクションといったジャンルでいい。

『クワイエット・プレイス』に似た設定で、危険な世界で家族がどうサバイブしていくか、って話なんだけど、『クワイエット・プレイス』の方が脚本や演出がスマートだったし、フレッシュな描写もあったし、画の美しさとか特筆できる点は多い。(本作も画は悪くなかったけど編集のせいかあまり活きてなかったように思う。)
しかしどちらの作品も、家族がサバイブしていくことにだけにしか興味がなくて、なぜ危険な状態なのかっていうその原因の部分が雑だし安直。終盤、シャマラン的な方向にシフトしていったら面白いなと思ったけどそうもならず。肩透かしを喰らいました。

案外、今日の午前中に観た新藤兼人監督『裸の島』にも似た映画だった。要は別に新しい発想じゃないってことですね。
象徴的な、寓話のような映画って、いろいろと含意を勝手に想像することはできるけど、観客の想像に頼る、そういうやり方って基本的にズルいと思うなぁ。「2001年」だって本当は反則だからね。