このレビューはネタバレを含みます
たまたまあったので鑑賞。
真実に基づく作品とのこと。最近多いよね。
まずはシュワちゃん扮するローマンが、クリスマスに帰ってくる妊娠中の娘と妻を空港まで迎えに行き、その飛行機が事故にあったというところから始まる。
今までのシュワちゃんならそこから復讐に燃え、武器を揃えて敵地に乗り込む、みたいなのを想像するが、今回は実話に基づいた作品。そんな人いないでしょう。と自分をなだめる笑
そのあと別の人の視点になる。
今度は事故にあった飛行機の着陸誘導を当日に担当していた管制室のジェイク。
なるほど、これはそういう複数の人の視点の物語なのかとそこで理解。
そしていつか2人が交差するんだろうな、とも。
しかし2人ともなかなか結びつかないし、2人とも失った悲しみに暮れ、重く苦しい時間だけが過ぎていった。
1年後、時間の経過とともに少しずつ生活を取り戻しつつある2人。
遺族が事故現場に慰霊碑を建てる集会で少し、あの悲しみを語ったりする一方、
人殺しと罵られ、名前と住所を変えてなんとか穏やかに暮らしている管制室の彼もとに、久しぶりに妻と息子が遊びに来て団らんを過ごす夜。
そこに、やってきたローマン。
え?やっぱり復讐なの?(ウソやろ?)
コラテラルとかとは違う、静かな復讐の瞬間。あたたかい時間をとり戻していた家族の目の前で、管制官だったジェイクは、殺されてしまった。
ローマンは、一言でいいから謝って欲しい、と、今回の事故を本に書き上げようとしている女性記者に話した。
同じ記者にずっと取材されていたジェイクは、事故当時も罪の意識に苛まれ、亡くなった人を思うと自分も死のうかと考えていたほどで、僕が逆の立場ならと考えるだけで恐ろしい。僕は悪人じゃない。と話していた。
そんな彼に、犠牲者の写真を見せて謝ってもらいたい、とローマンが言った瞬間、辛すぎて涙が溢れた。
そのあと、ようやく落ち着きを取り戻そうとしたのにそんな事を言ってきた人に対して思わず憤ってしまうのは仕方ない事だと思う。
でもローマンは、そこで手にしていた写真をジェイクに振り払われ、ぞんざいにされたのがきっかけで、糸が切れてしまい、彼を殺してしまった。
もう。
悲しみしかない。
なんとも言えない。これが、現実。
唯一の救いは、刑務所から出たローマンに近づいたジェイクの息子が、ローマンに復讐をしなかったこと。
でも、辛かったこと、言えてよかったね。
ローマンに、悪かったって言ってもらえて、よかった。
悲しみは癒えないけど、さらに悲しみを繰り返さなくてよかった。