ち

火花のちのレビュー・感想・評価

火花(2017年製作の映画)
4.0
何度だっていうが、私は又吉の書く文章が好きだ。敢えて敬称は略させて欲しい。
ちいさいころから本が好きで色んな作品に触れてきたけれど、(まあその道を行く人や比べ物にならないほどの方達がいることは承知の上で)
こんなにも心を揺さぶられる文章に出会ったことがなかった。
そんな大好きな作品のひとつの映像化、久しぶりに再度触れてみたけどやっぱりくうぅと苦しくなる。
特に夢があるわけでもなく、なりたい姿があるわけでもない。東京に憧れを持ちすぎとか東京にいってなにがしたいのとかいろんな意見があるなかで、葛藤する気持ちや処理しきれないわたし自身の気持ちにぴったりと当てはまるような気がしてしまう。

そしてこの火花という物語の素晴らしいところは後半への畳み掛け。原作が大好きだからこそ、ちょっとこれでは分かりづらいのでは、とかあのシーンないのかとか思うところもあったけど、映画だからこその描写も相まって、わたしは好きでした。
東京にはこんな夜が幾つもあったかとおもうと私はまた、眠れない夜をひとつ乗り越えられそうな気がする。
ち