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きみの鳥はうたえるのGKのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.8

荒波より凪。
熱波より空気。
歌う鳥はより、歌わない鳥。

それをよしとする1人の男の話。

とあるマーケティングプロフェッショナルな方が、その著書の中で「今の若者は物欲がない、というがそんなことはない。買えないから諦めているだけだ」と述べていた。

それは一理あると思った。勢いを失う国内市場。その停滞からくる購買意欲の減少。合わせて、何に対しても手に入れようとする意欲を失っているのかもしれない。

また「エネルギーを使うことになれていない、腰が重い」ということもあると思う。
一昔前は、何かを手にいれる、生きていくためにはエネルギーを使わなければならなかった。しかし現代は、過剰な便利さによってエネルギーをあまり使わなくても生きていける。つまりエネルギーを使うための「よっこらしょっとやりますか」のハードルが上がってしまっている気がするのだ。

僕はそんな現代の若者の1人。


”僕は率直な気持のいい、空気のような男になれそうな気がした。”

そう僕は言うが、自分に言い聞かせているようにも聞こえる。

最後、僕は空気のような男になることを自ら拒否し、うたえる鳥になる。
それはまるで、監督から若者への「まだやれる、君はうたえる」という激励のようにも見えた。
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