フィルモワ

きみの鳥はうたえるのフィルモワのネタバレレビュー・内容・結末

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「僕」が、わたしにはとても魅力的だった。

バイトは無断欠勤。デートもすっぽかす。何度言っても電気は消さないし、冷凍庫の扉もしっかり閉めないし、関係を持った女性がほかの男の服を着ようが、泊まりで出かけようが、頓着する素振りもない。

一般的な「誠実」さや、「ちゃんと」した人間像からはかけ離れているので、なんというか、観ているこっちはムズムズしてくるんだけど。でも、ときどき覗かせる素の優しさ、臆病さが、どうしようもなく彼を物語っていて。体裁だけ取り繕って、その実不平不満で腐りきってる人間とどちらが美しいかって、それはまぁ明白で。

流れるまま流されるままフロウで生きる「僕」の変化を、見せて見せて映画がきわまるフックでぷつり。こっちを宙吊りにしたまま終わっちゃうっていうコニクイ演出、よかったです。

あ〜、二十代を遊んで過ごして良かった!遊びに身を投じる人間の美しさを妬むなんていう、最悪なオトナにはならずに済んだのかな…と安堵しながら、彼らの背中を見送った。