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きみの鳥はうたえるのmogのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.9
すごい。

函館の町(最初どこだか全然分からんかったけど)がなんだかイギリスの街並みみたいに見えたりする。スーパーも街頭も全然違って見える。なんか郷愁を呼び起こされるような記憶のどこかにあるあの頃自分がいた街みたいな。でもボヤッとした幻想的な場所じゃなくてむしろ解像度が高すぎて肌触りまで触知できるようなそんな映像。冒頭の数シーンだけで、あ、この映画全然違う、と思わされる。空気にピリピリするような張り詰めた緊張感がある。すげ〜な〜こういうのは。役者もすごいけど撮影と監督がやっぱりすごいな〜。

原作は佐藤泰志の1982年の作品らしい。舞台は国立。おー。途中まで東京の西側の方かな〜と思ってずっと観てたわ。意識してたのかな?たまたまかな?

そういえばこの映画をずっと観たいと思ってたのはタイトルに惹かれたからでなんでタイトルに惹かれたからかというと当然ビートルズな訳で。同じ直訳にしてもノルウェイの森よりもきみの鳥はうたえるの方が全然かっこいいというか。なんか日本語にされただけで全然違うものを突きつけられたようなドキッとするような感覚。だったんだけどそういえば映画の中にビートルズの影は1ミリもなかった。でもそれで良かった気がする。なんかビートルズ歌われても浮く気がする。ハナレグミのオリビアを聴きながらという絶妙に捻った選曲も見事としか言いようがない。全編通して音楽もとても良かったです。

When your bird is broken
Will it bring you down
You may be awoken
I’ll be round,
I’ll be round

でもこの辺りはすごく意識されてる気もするなあ。


不思議と一番印象に残ってるシーンは染谷将太の2回目の卓球のところ。こういうところ見事だよな〜。

良い短編小説を読んだあとのような読後感。
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