あまりにも素晴らしい映画。日本映画の近年作なら確実にトップクラス。
かと言って日本映画と言っていいものか、確かに製作者俳優から考えてみれば紛れもない日本映画ですが。方法論的にはフランス映画の雰囲気の方が近いような印象を受けました。
本作のポイントは「ズレ」。こういった恋愛映画はいくつかの"意味ある"エピソードを組み合わせるのが定番ですが、本作はそういった感じではないです。"意味ない"かつエピソードというほどの塊を為してないものが次々と繰り広げられてる。言い換えるとバランスが悪いともいえます。
でも、物語を通してみると、それらの塊がQueとしてちゃんと作用してるという驚き。つまり、「ズレ」にだんだんと観客が同調して、ラストはその「ズレ」の快楽を享受できるというわけです。
あえてぼかして書きましたが、観てみると理解できるはず、確実に本作は意図的に「ズラ」している。
あとは音楽の使い方。これも素晴らしい。正直日本映画の音楽の使い方が最悪な場合が多いんですが、本作ではそれを逆手にとってほぼ音楽がない。数カ所だけ使われてる。それが大変効果的、というか名場面の演出として最適でした。
最後に主演3人の演技も見逃せません。これは監督も含めて、新しい風を予感させてくれます。柄本佑のカッコよさとダサさが共存した演技は、ほんと衝撃そのものです。