邦画の良いところが存分に詰まった映画だった。何か大きなストーリーの変化がある訳では無いのに全く飽きずに見ることが出来た。
絶妙な関係の3人の日常を淡々と描きながらも、所々でそれぞれの思いが交差する。なんといっても3人の演技が素晴らしい。
いろいろなことに対して正面から向き合うことを避けている「僕」の柄本佑、一見無邪気に笑いながらもその瞳の奥には間違いなく何か強い気持ちが見える静雄の染谷将太、不思議な色気と強さを持つ佐知子の石橋静河。この3人だからこそ成り立っている。
まるで本当にこの3人の日常を見ているかのような自然な演技。もはや全てがアドリブに見えてしまうほど楽しそう。セリフがありすぎないのも良いんだろうな。
また、所々照明で心情を表現しているのも素敵だった。特にカラオケのシーンの静雄の表情と照明は印象的だった。
ラストはまさかの終わり方だけれど、私はすごく好き。久しぶりに原作を読みたいと思う映画に出会った。