とらキチ

ピザ!のとらキチのレビュー・感想・評価

ピザ!(2014年製作の映画)
4.0
南インドの超大都市、チェンナイのスラムを舞台に、幼い兄弟を通して凄まじいまでの格差社会、スラムを取り巻く社会構造を巧みに描き出す。
そんな格差を描く手がかりになるのが、突如として街にやってきたピザ屋さん🍕。兄弟はピザという未知の食べ物をぜひ一度食べてみたいと思うが、それはなんと家族の1ヶ月の生活費よりも高かった! そこで2人はピザを買うために計画を立て、石炭を拾って売ったりと、いろんなことをしながら一生懸命300ルピーを貯めようとする。
ここまでは、ある意味微笑ましい「児童映画」を想像するが、ここからのストーリーの展開力、推進力が素晴らしい。お金を稼ぐ為に奮闘する兄弟の陰の、スラムの住民の大人たちの現実の描かれ方が面白い。地元議員、ピザ屋のオーナー、議員の息のかかったスラムのチンピラの3者、三つ巴の化かし合いが描かれるが、貧富の格差を描くにしても“貧”の側は、ただ“富”の側に虐げられるのではなく、とても逞しく賢く強かな姿が描かれている、というのが気持ちイイ。
今作のストーリーで一番好きだったのが、兄弟が様々な人々との出会い、別れ、再会を通じて、着実に成長していった姿を見ることができたところ。最後の大オチ、念願のピザ🍕を食べた時の感想にはクスッと笑えてしまった。
そしてみんな大好きヨーギ・バーブの思わぬ登場にも癒された。
とらキチ

とらキチ