エスキモーズゆう

ピザ!のエスキモーズゆうのレビュー・感想・評価

ピザ!(2014年製作の映画)
3.7
貧困層が多いインドでは、数少ない娯楽に現実逃避できる要素を求めるようで、そのため歌ったり踊ったりシンデレラストーリーみたいな映画が多いと聞いたことがあります。
その点、この映画には歌も踊りも無いし、スラム街の切ない現実がそのまま描かれていて、インド映画にもこんなのあるんだなーと思いました。

貧富の差、というけど、カースト制度による身分の差だと思います。
身分の低い人々は、どんなに能力があっても選べる仕事は限られているそうです。
ピザが食べられないのは、お金の問題でも服装の問題でもなく、身分の問題なんだと思います。

インド人が大好きな現実逃避映画じゃないからか、インド旅行を経験した身としてはリアルインドの映像に心踊りました。
「きっとうまくいく」などのインド映画を観てて思うのは「こんなキレイな街並み、インドのどこにあるの?」と言うことです。
あのゴミだらけの風景、スラム街だからってわけではなく、都会の普通の家の周りもだし、田舎の家の周りもあんな感じでした。
ごみ収集が発達してないから、とりあえず家の塀の外に捨てる習慣だそうです。
あと、映画に登場するような質素なお家も何軒かお邪魔した事があります。そこもスラム街というわけではありませんでしたが、ちゃんとした扉の無いワンルームにはこれと言った家具は無く、家族で雑魚寝してて、部屋の隅に小さなカマドがあり、そこで女性がご飯を作っている、というシンプルな暮らしでした。
信号機が無いので、映画の子供達と同じように、車やバイクがビュンビュン通る車道をヒーヒー言いながら渡ったこともあります(なぜか車やバイクは止まらない)。

あと、もののけ姫のコダマみたいに首をカタカタ振る仕草、最初意味がわからず、拒絶されてるのか小馬鹿にされてるのかと思ってました。
インド人、首を縦に振る代わりに、カタカタ振るのです。

色々と思い返すときりが無いけども…そういや、映画の中に出てくるような子供達に金くれと追いかけ回されたりもしたなー。
そんな旅を思い出す映画でした。