津次郎

この世に私の居場所なんてないの津次郎のレビュー・感想・評価

3.8
Blue Ruinで見たトッチャンボーイな感じの俳優Macon Blairが監督している。imdbを見たらDirectorの欄がこれだけだった。だが映画には完成されたスタイルがある。

何か妙に共鳴するところがあると思っていたら、教会のシーンでEcho & the BunnymenのBring on the dancing horsesが流れる。個人的に減るほど聴いた曲でびっくりした。
オリジナルアルバムには収録がなくPretty in Pinkのサントラに入っていた。ヒットしたOMDのIf you leaveやサイケデリックファーズなんかが入っていて、とても聴いたサントラだった。
共鳴は、おそらく監督と私の同世代に所以すると思う。

映画には、冗談なのか本気なのか、どっちつかずの空気感が流れている。

ルース(Melanie Lynskey)は真面目に生きているのだが、アンラッキーで、クライマックスに欠けた日常に嫌気している。X脚とポチャが特長。
トニー(Elijah Wood)は、わけのわからないタイミングでキレるが根はいい男。ヌンチャクと手裏剣を得物とするのだが、扱いは慣れていない。

ふざけているようでもあり、真剣なようでもある、その二人が、些細な盗難事件から、禍々しい運命に囚われていく展開が、とても映画的だった。
ルースがかなり偶然に救われるのだが、偶発的事象が不自然にならない雰囲気がいい。

Christine Woodsという女優が出ていて、この人のラリりっぷりが、完全に堂に入っていて印象的だった。
Evil DeadやDont Breathでホラー常連と化した感あるJane Levyも出ていて、ありえねーって感じで死ぬのが、面白かった。
銃撃戦中にゲロを吹き出してるルースも笑えた。
基調に諧謔があって、シリアスを単なるシリアスに収めない雰囲気が楽しい。

苦い結果に終わったのだが、また元の退屈な日常に戻ったルースに、トニーの幻影が微笑みかけるラストも、妙になごめた。
津次郎

津次郎