はんそく負け

赤線地帯のはんそく負けのレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
3.9
京マチ子、若尾文子、木暮実千代など名だたる名女優が多数出演しているのも見所な溝口健二の遺作です。売春禁止法に揺れる売春宿の女性たちを描きます。

様々なテーマが盛り込まれていますが、家族というテーマが最も印象に残りました。ほとんどの家族は仲良くやっているでしょうし、それが普通です。でも中には決して上手くいかない家族もいます。本作に登場する三益愛子もその一例です。
息子のため、息子のためと体を売って日銭を稼ぐも、その息子には「汚い!」と拒絶されます。これには母の体が汚いという意味合いだけでなく、"息子のために体を売って稼いだ"ことを免罪符にして同居を求める母に対して、そのやり方は「汚い!」ということも言っているのだと思います。生んだのは母親の意思なのに身勝手だなぁと思うと同時に、ラストの展開にはざまぁみろ!と私は思ってしまいました。