赤線地帯の作品情報・感想・評価・動画配信

「赤線地帯」に投稿された感想・評価

efn

efnの感想・評価

3.8
 黛の採用といい額縁構図の放棄といい溝口作品の中でも特に不穏。店の奥中で密談する女将と玄関で客を取る女の間、着飾った母とそれを看板を挟んで目撃する息子、それぞれが玄関、看板を挟んで交流を拒む。工場の空き地で息子が母が拒絶する場面でもオート三輪が二人の間を引き裂くが、これも関係性を断ち切るために走っている。
 金を貢いでいた男が逆恨みの末に女を殺すシークエンスにしても、事件は廊下で起こる。犯人は廊下を走り抜けて逃走するのだが、この逃走自体が溝口にしては異様だ。(撮ったのが5年早ければカメラは廊下の窓側、90度違う場所に置かれたはず)
 どのショットにも西鶴一代女、祇園の姉妹にあった額縁構図の窮屈さ、睨み合う二人を枠で共食いさせるような悪意はない。代わりに断絶だけが、人は不信を乗り越えて生きる他ないと言いたげな構図が溢れている。ラストで壁越しに客を取る新人、それさせてしまう社会そのものを象徴している黛の音楽の何と残酷なことか。
 晩年の溝口の足掻きというか境地を見た作品だった。
玄米

玄米の感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

ホラーじゃん…。
最後とか怖すぎた。
何か嫌なことが起こりそうな重苦しい雰囲気になるとかかるBGMが怪談みたいなヒュードロドロ系なので、これは現代版ホラーだと思う。

ポスターがとてもお洒落だし、少し前に観た川島雄三の『洲崎パラダイス赤信号』のような雰囲気をイメージしてたので肩に重しがかかるような暗さに驚いた。

今日マチ子さんの方言が達者ですごい。雨月物語の女と同一人物とは思えない。ミッキーって名前もすごい。
いつ見ても、どんな冷淡な役を演じても若尾文子さんは可憐。最後は水商売から足を洗っていてシャキシャキ笑顔で働いていた。

華やかなキャストの中で、ひっそりと存在感を放ってたのはハナエ役の木暮実千代さん。
無職の夫が自殺未遂を起こしたり貧しくて幸薄なのだが、眼鏡からのぞく大きな瞳が美しい。
いつもは地味な服を着てるけど、仕事でメイクアップした姿はパッと目を引く。眼鏡の人って色気があって好きだ…。

その当時の世相や、吉原で働く一人一人の女性の苦しみが描かれている。クルクル主人公が変わるけど観ていて疲れない。
店の旦那の大演説に頭が痛くなった。
kaz

kazの感想・評価

3.0
京マチ子の演技力。存在感。

赤線地帯の女たちを描く。

乾いた明るさがあるものの、内容は結構重い。

特に息子に捨てられたゆめちゃん(ゆめちゃんというものの、いい歳)の姿は見ていられない。

当時、女が一人で生きていくことが如何に大変だったのか。私だって身体を売って商売してんだという啖呵には、説得力があった。

今の時代では、作ることの出来ない力のある作品だと思う。

星は3つ。3.4とする。

あと、若尾文子の美しさよ。


ひとっ風呂浴びて
マリリンモンローでも観てきたろ
一

一の感想・評価

3.5
巨匠 溝口健二監督の遺作

赤線地帯にある風俗店「夢の里」を舞台に、さまざまな境遇の女性たちの姿を生々しく描いた群像劇

小気味よいテンポで時折ユーモアを交えながらも、リアルな売春街を描写し娼婦達が徐々に追い詰められていくという冷酷なストーリー

舞台は売春防止法が施行される直前の吉原
様々な事情で自らの体を売って生活する女性たちが、“売春防止法”の制定により仕事が奪われてしまうかもしれないという、先行き不安な娼婦の悲壮感漂う物語ではありますが、女性の逞しさもしっかりと描かれてるのが素晴らしい

華やかな女優陣の顔ぶれで、いわば汚れ役とも言える多彩なキャラクターを若尾文子や京マチ子などが演じているのも凄い
独特なセンスの電子音楽ですが、個人的には映画とマッチしていてとてもいいと思う
ラストカットも非常に秀逸で、切なくも深く考えさせられる

今まで観た溝口作品で1番わかりやすくて見易かったかな
その上、さすがの溝口健二作品という具合に芸術性にも長けた作品でした👏🏻

〈 Rotten Tomatoes 🍅82% 🍿84% 〉
〈 IMDb 7.9 / Metascore - / Letterboxd 4.1 〉

2021 自宅鑑賞 No.075
今流行りのシスターフッドな映画

神戸ギャルマチ子は必見!


気狂い描写は笑っても良いのかどうか
当時の倫理観はいかなるものだったのか
も気になるところ
ポップに描かれてはいるけどものすごいヘビーな話だよなぁ。


いつの時代も風俗業者は「社会事業」って言い訳するイメージある。実際はかなり搾取してそうなもんだけど。

当時の中華そばとかカツ丼とかビール(劇中に出てくるのはサッポロ赤星かな?)がどんな味だったのか気になる。

この頃の映画のBGMってやたらと「ヒョワワワ〜」みたいな音するけど流行りだったんだろうか、何の楽器なんだろう。
売春防止法施行直前の吉原……正しいも正しくないも誰に決めてもらう必要もないのにな
人生終いには子供に捨てられる恐怖がついてまわるってもう絶望の底は見えんのか でも慣れない客引きに絶望は不思議となかったな

京マチ子の“八頭身や”で爆笑、快演!かっこよすぎ!最高!!
あ〜〜〜貧乏なんて大嫌いよ!
Eri

Eriの感想・評価

3.8
女性の地位が今よりも、もっと低い時代のお話。女性の哀しさ、しぶとさ、美しさなどが描かれていた。劇中音楽が登場人物達の不幸に寄り添うような不気味な雰囲気で、印象に残った。
2021年16本目
1956年から売春をしないと生計が立てられない状況が未だに変わってない現実。
いや、今の方がもっと酷いか‥
女性の連帯をひたすら描く。
撮影も音楽も本当に良いし、新作映画観たかと思うほど。
HK

HKの感想・評価

3.6
売春に限らず、気に入らないいかがわしいものをイリーガルな領域に押し込めて排除するというやり口は、そういった産業に従事せざるを得ない人々を社会から隔絶させるだけでなんら根本的な解決になっていない。性産業が持続化給付金の対象外になってしまうことからもこれは明らかだ。…と映画の内容からやや飛躍して思うなど。

若尾文子はいつもより化粧が派手だがそれでも上品すぎて売春婦感が上手く出せていない気が。その点京マチ子はすごい。和装の役が多いのでこれまで気づかなかったがそもそもすごいプロポーションだし、はすっぱな関西弁も父への恨みも母への慕情も全部うまく演じる。最強女優です。
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